NANANANA 制作メモ

2011年7月13日

NANANANA 制作にあたって計画・実施したことをまとめました。

意図や背景を整理し、目標を設けて、利用者・鑑賞者に配慮したシステムを作るというプロセスは、ふだんの仕事と同じでした。

制作意図

  • 卒業制作を控えるゼミ生の参考にしてもらおう
  • Diという会社を知ってもらおう
  • Diの今後の方向性・可能性を探究するための糧としよう
  • プログラミングによるコミュニケーションデザインの練習をしよう
  • 習作レベルの作品でもどんどん公開して、色んな人に見てもらおう
  • 自分と興味・関心の近いクラスタ以外の人たちに、見てもらおう

設定した目標

  • Di5周年の7月7日付近で発表しよう
  • 七夕にちなんだ作品にしよう
  • 子どもから大人まで、年代・性別・興味・関心を問わず楽しめる作品にしよう
  • 誰が見ても「七夕をテーマにした作品」と直観的にわかるようにしよう
  • ベタな表現でいこう
  • 鑑賞者が参加できる作品にしよう
  • 飽きずにずーっと見ていられる映像にしよう
  • 会場(FLAT)の空間を活かそう
  • 外からも見ることができるようにしよう
  • openFrameworks を使って制作しよう

プロジェクト名を決めるまで

  • 七夕にちなんだ名前をつけよう
    • 七夕 ... TANABATA
    • 7月7日 ... NANA月NANA日
  • 表記の違いを検討 ... NANANANA, ナナナナ, なななな
    • ゆれる短冊でロゴを構成できそうなアルファベット表記の「NANANANA」に決めた

どのような作品にするのか

  • 七夕飾りをモチーフにした作品にする
  • 参加者に「願いごと」を書いていただく
  • それらの願いごとが次々に表示される「システム」と「ビューアー」をデザインする
  • FLATの空間をいかしたインスタレーションとする

制約によってデザインをする

  • コンテンツの作成は参加者にゆだねるが、仕組みに制約を持たせることで、ある種の一貫性を保持し、鑑賞者とのコミュニケーションをデザインする
  • 文字数を制約する → 14文字
    • 願いごとを「読む」ではなく「見る」ことで認識可能にし、次々に表示されても楽に読めるようにする
  • 投稿形式を制約する → 手書きのみ
    • キーボードによる入力ができない子どもでも参加ができる
    • 個々の文字のクセが、ビジュアルに寄せ書きのような多様性を持たせる
  • 投稿場所を制約する → 展示会場のみ
    • Twitterは物理的な距離を越えて興味・関心の近い人たちを繋げてくれるが、その逆をやってみよう

ビジュアルデザイン(見た目)の方針

  • ほとんどの人が七夕を想起するようなビジュアルにする → 星、短冊、色紙をモチーフにする
  • 文字を会場の外からも内からも読めるようにする → 文字をアニメーションでゆっくり回転させる
  • クセを極力なくし、ニュートラルな表現にする
  • ユニークな造形は目指さない
  • 自分が造形の主役にならない
  • 自分または身内にしかわからないような世界観にはしない
  • ベタでわかりやすく
    • 多様な人に受け入れられるビジュアルにしたい
    • シンプルに発光するものの集合体(蛍、星空、花火)を嫌いという人は少ない
  • 長く見ていても飽きない映像にする
    • ゆっくりとした動き
    • 生理的に気持ちいい動き

プログラミング(実装)の方針

  • openFrameworks を利用して開発する(制作に利用するのは今回が始めて)
  • 書籍「Beyond Interaciton」をテキストとし、2週間ほどかけて基礎を学ぶ
    • 原則として、この本で学べる範囲での技術を利用する
    • そのほか必要があれば、openFrameworks に含まれるサンプルを参考にする
  • パフォーマンスを重視する
    • 数時間実行しても、fps の値が60を維持できるようにする
  • 試作段階のものを iPhoneアプリにして展示する
  • アニメーションに合わせてサウンドを再生する

願いごとのデータ化から表示まで

  • 紙に願いごとを書いていただく
  • iPhoneのカメラで撮影する
  • iPhoneアプリ PictShare で DropBox にアップロードする
  • 数秒でクライアント機の DropBox の共有フォルダに画像が同期される
  • 画像ファイル一覧の xml ファイルを更新(今回は手動でファイルを編集したが、これは自動化したかった)
  • 更新された xml ファイルをアプリケーションが読み込む(今回はキーボードを押して読み込んだが、これも一定時間ごとに読み込むよう自動化したかった)
  • xml ファイルをもとに、画像を読み込み、個々の画像のピクセル情報を解析し表示のための処理をする
  • 新しい願いごとが表示される

文字のアニメーション

  • 文字を構成する個々の点を動かしてアニメーションを表現する場合に限って、取得したピクセル情報をもとにリアルタイムで図形を描画した
  • 文字を大量に動かす部分は、setupの段階でピクセル情報をもとに再配色をしてから setFramePixels() を利用して画像化した ← これをやって、運用可能なパフォーマンスが出た

展示会場での作業

  • 試作段階で展示会場に行き、プロジェクタで投影、その映像を見て、さらにアイデアを追加した
  • オブジェクトの表示位置はキーボードで調整ができるようにプログラムして、現地で最適なレイアウトにした

試作のオープン化

  • Pixivのようなネット上のプラットフォームに作品を公開するように、リアルな空間でも気軽に作品を発表できるといい
  • うまくなるには「アイデア→試作→評価」を繰り返していくだけだが、それをオープンにやっていくということ
  • そういうプラットフォームとしてFLATはとても向いている(気がする)
  • FLATに集まるさまざまな人に作品を見てもらいフィードバックを得ることは、結構貴重なことだと思う(同じ興味・関心の人たちが集まるコミュニティで発表しても、偏った評価しか得られない)
  • そうしていく中で、学内・社内の狭いコミュニティに閉じこもらず、あらたなメンター(師匠)との出会いも期待できる
  • これから成長したい人は、FLATのようなスペースを活用していくといいと思う

今後の課題

  • ネットワーク環境が悪いと更新が遅延してしまうため、クラウドだけに頼らない代替手段を保険に用意しておく
  • 音をもっとコントロールしたい、音のプログラミングを学びたい → SuperCollider

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